夜もすがら月を眺めて契り置きし
その睦言に闇は晴れにき
- 歌の意味
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一晩中月を眺めながら約束を交わした、あの親しい語らいによって、私の心の闇は晴れたのだった。
- 鑑賞
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雑歌 732
詞書「中院右大臣、出家思ひ立つよしの事語り給ひけるに、月いと明くて、夜もすがらあはれにて、明けにければ帰りにけり、その後、その夜の名残多かりしよし言ひ送り給ふとて」
中院右大臣源雅定が西行に出家を思い立ったことを語った夜、月がたいへん明るく、一晩中しみじみと語り明かした。その後、雅定がその夜の名残が尽きないことを言い送ってきた歌である。月を眺めながら交わした約束の語らいによって、心の闇が晴れた、と詠む。月の光と心の闇の晴れることとを重ねている。
初句「夜もすがら」は、一晩中、の意である。
二句「月を眺めて」は、月を眺めながら、の意で、詞書の「月いと明くて」を受けている。
三句「契り置きし」は、約束しておいた、の意で、出家の志を語り合ったことをいう。六音の字余りである。
四句「その睦言に」の「睦言」は、親しく語り合う言葉の意である。
結句「闇は晴れにき」の「闇」は心の迷いをたとえ、月の縁で「晴れ」と続けている。「にき」は完了と過去の助動詞で、晴れたのだった、と結ぶ。
よもすがら:一晩中
むつごと:親しく語り合う言葉
- 作者
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源雅定
- 出典
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山家集
- 前の歌
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驚かぬ心なりせば世の中を 夢ぞと語るかひなからまし
- 次の歌
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すむと言ひし心の月し現れば この世も闇の晴れざらめやは