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すむと言ひし心の月し現れば
この世も闇の晴れざらめやは

歌の意味
世を離れて住み、心が澄むと語ったその心の月が現れるならば、この世の闇も晴れないことがあろうか、きっと晴れるだろう。
鑑賞
雑歌 733

詞書「返し」
 前歌の源雅定の歌への西行の返歌である。出家して住み、心が澄むとあなたが語ったその心の月が現れるならば、この世の闇も晴れないはずがない、と詠み、雅定の出家の志を励ましている。前歌の「月」「闇は晴れ」を受けて、心の月という仏教的な表現で応じている。

 初句「すむと言ひし」の「すむ」は、世を離れて住む意と、心が澄む意とを掛けた掛詞である。六音の字余りである。
 二句「心の月し」の「心の月」は、悟りを得た澄んだ心を月にたとえた仏教の語で、「し」は強めの副助詞である。
 三句「現れば」は、現れたならば、の意である。
 四句「この世も闇の」は、この世の闇も、の意で、前歌の結句「闇は晴れにき」を受けている。
 結句「晴れざらめやは」の「めやは」は反語で、晴れないことがあろうか、きっと晴れる、と結ぶ。

すむ:世を離れて住む意と、心が澄む意を掛ける
こころのつき:悟りを得た澄んだ心を月にたとえた語
作者
西行
出典
山家集
前の歌
夜もすがら月を眺めて契り置きし その睦言に闇は晴れにき
次の歌
いにしへに変はらぬ君が姿こそ 今日はときはの形見なりけれ