- 歌の意味
- 山里に心は深く入り込んでいたのに、柴の煙が立ちのぼるように、私は立ち帰ってしまったのだった。
- 鑑賞
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雑歌 737
詞書「返事」
前歌への西行の返事の歌である。山里に心は深く入り込んでいたのに、柴の煙が立ちのぼるように、自分はそこから立ち帰ってしまった、と詠む。前歌の「柴の煙」をそのまま受けて、相手に会えずに帰ったことと、山里への心残りとを重ねている。
初句「山里に」は、前歌の結句「冬の山里」を受けている。
二句「心は深く」は、心は深く、の意で、山里に深く心ひかれていたことをいう。
三句「入りながら」の「ながら」は逆接の接続助詞で、入り込んでいたのに、の意である。
四句「柴の煙の」は、前歌の二句と同じ句で、相手の言葉をそのまま受けている。
結句「たち帰りにし」の「たち」は、煙が立つ意と、立ち帰る意とを掛けた掛詞である。「にし」は完了と過去の助動詞で、帰ってしまったのだった、と結ぶ。
たつ:煙が立つ意と、立ち帰る意を掛ける
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 立ち寄りて柴の煙のあはれさを いかが思ひし冬の山里
- 次の歌
- 惜しからぬ身を捨てやらで経る程に 長き闇にや又迷ひなん