惜しからぬ身を捨てやらで経る程に
長き闇にや又迷ひなん
- 歌の意味
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惜しくもないこの身を捨てきれずに過ごしているうちに、また長い迷いの闇に迷ってしまうのだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 738
詞書「この歌も添へられたりける」
前々歌と同じ「ある人」から、返事に添えて送られてきた歌である。惜しくもないわが身を捨てきれずに過ごしているうちに、また生死の長い闇に迷ってしまうのだろうか、と詠む。出家しながらも迷いを断ち切れない不安を西行に打ち明けている。
初句「惜しからぬ」は、惜しくもない、の意である。
二句「身を捨てやらで」の「やら」は、すっかり〜しきる、の意で、「で」は打消の接続助詞である。身を捨てきれないで、の意である。
三句「経る程に」は、月日を過ごすうちに、の意である。
四句「長き闇にや」の「長き闇」は、生死を繰り返す迷いの世をいう。「や」は疑問の係助詞で、結句の「なん」と係り結びをなしている。
結句「又迷ひなん」の「なん」は、きっと〜してしまうだろう、の意で、係助詞「や」の結びである。
ふ:時を過ごす、経る
- 出典
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山家集
- 前の歌
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山里に心は深く入りながら 柴の煙のたち帰りにし
- 次の歌
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世を捨てぬ心のうちに闇こめて 迷はんことは君ひとりかは