世を背く心ばかりはありあけの
つきせぬ闇は君に晴るけん
- 歌の意味
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世を背こうとする心だけはあるが、有明の月のように、尽きることのない闇はあなたに晴らしていただこう。
- 鑑賞
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雑歌 743
詞書「返し」
前歌への返歌で、作者は前歌の詞書にある「後の世の事、むげに思はずしもなしと見えける人」である。世を背こうとする心だけはあるが、尽きることのない迷いの闇はあなたに晴らしてもらおう、と詠み、西行の導きを頼みにしている。前歌の「ありあけ」「闇」をそのまま受けている。
初句「世を背く」は、世を捨てる、出家する、の意である。
二句「心ばかりは」の「ばかり」は限定で、心だけは、の意である。
三句「ありあけの」の「ありあけ」は、心があるの「あり」と有明とを掛けた掛詞で、前歌の二句を受けている。「有明の月」から四句の「つき」を導いている。
四句「つきせぬ闇は」の「つき」は、有明の月と、尽きる意とを掛けた掛詞で、尽きることのない闇は、の意である。
結句「君に晴るけん」の「晴るく」は晴らす意で、あなたに晴らしてもらおう、と結ぶ。
ありあけ:心があるの意と、有明を掛ける
つき:有明の月の意と、尽きる意を掛ける
はるく:晴らす、心を晴れやかにする
- 出典
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山家集
- 前の歌
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世の中に心ありあけの人はみな かくて闇には迷はぬものを
- 次の歌
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潮馴れし苫屋も荒れてうき波に 寄る方もなきあまと知らずや