苫の屋になみたち寄らぬ気色にて
あまり住み憂き程は見えにき
- 歌の意味
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苫屋に波が立ち寄ることもないありさまで、海人が住むにはあまりに住みづらいほどであることが見て取れた。
- 鑑賞
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雑歌 745
詞書「返し」
前歌への西行の返歌である。苫屋には波が立ち寄る気配もなく、海人、すなわち尼が住むにはあまりにも住みづらいほどの荒れようが見えた、と詠む。前歌の「苫屋」「波」「あま」をそのまま受けて、荒れた住まいを見たときの心を伝えている。
初句「苫の屋に」は、前歌の「苫屋」を受けている。
二句「なみたち寄らぬ」の「なみ」は、波と、「なみだ」とを掛けており、波が立ち寄らない意に、涙も寄せない寂しさを響かせている。
三句「気色にて」は、様子であって、の意である。
四句「あまり住み憂き」の「あまり」は、余りに、の意と、前歌の「あま」とを掛けている。
結句「程は見えにき」は、そのほどが見て取れた、の意で、「にき」は完了と過去の助動詞である。
なみ:波の意と、涙を掛ける
あまり:余りにの意と、海人(尼)を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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潮馴れし苫屋も荒れてうき波に 寄る方もなきあまと知らずや
- 次の歌
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山おろす嵐の音の激しさを いつ習ひける君が住みかぞ