世の中を厭ふまでこそ難からめ
かりの宿りを惜しむ君かな
- 歌の意味
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世の中を厭い捨てるまでのことは難しいだろうが、この仮の世の、かりそめの宿を貸すことさえ惜しむあなたであることよ。
- 鑑賞
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雑歌 752
詞書「天王寺へ参りけるに、雨の降りければ、江口と申す所に宿を借りけるに、貸さざりければ」
天王寺へ参る途中、雨が降ってきたので、江口という所で宿を借りようとしたところ、貸してもらえなかったので詠んだ歌である。江口は淀川の河口近くの遊女の里として知られた。世を厭い捨てることまでは難しいだろうが、仮の世の、ほんのかりそめの宿を貸すことさえ惜しむとは、と宿の主に詠みかけている。
この歌と次歌の遊女の返歌は新古今和歌集の羇旅歌に収められ、のちに謡曲「江口」の題材ともなった。
初句「世の中を」は、この世を、の意である。
二句「厭ふまでこそ」の「こそ」は係助詞で、三句の「め」と係り結びをなしている。
三句「難からめ」は、難しいであろうが、の意で、已然形で逆接的に下に続く。
四句「かりの宿りを」の「かり」は、仮の世の意と、宿を借りる意とを掛けた掛詞である。
結句「惜しむ君かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、惜しむあなたであることよ、と結ぶ。
かり:仮の意と、借りる意を掛ける
やどり:宿、宿ること
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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郭公なくなくこそは語らはめ 死出の山路に君しかからば
- 次の歌
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家を出づる人とし聞けばかりの宿 心とむなと思ふばかりぞ