家を出づる人とし聞けばかりの宿
心とむなと思ふばかりぞ
- 歌の意味
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家を出て世を捨てた方だと聞きましたので、かりそめの宿に心をとどめなさいますなと思うばかりなのです。
- 鑑賞
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雑歌 753
詞書「返し」
前歌に応じた江口の宿の主の返歌である。山家集には作者の名がないが、新古今和歌集では遊女妙の作とされている。家を出て世を捨てた方と聞いたので、仮の宿に心をとどめないようにと思っただけです、と詠み、宿を貸さなかったのは出家の身を思ってのことだと切り返している。前歌の「かりの宿り」を「かりの宿」で受けている。
初句「家を出づる」は、家を出る、すなわち出家する、の意で、六音の字余りである。
二句「人とし聞けば」の「し」は強めの副助詞で、そういう方だと聞いたので、の意である。
三句「かりの宿」の「かり」は、仮の意と借りる意とを掛けた掛詞で、前歌の四句を受けている。
四句「心とむなと」の「な」は禁止の終助詞で、心をとどめなさるな、の意である。
結句「思ふばかりぞ」の「ぞ」は強めの終助詞で、そう思うだけなのです、と結ぶ。
かり:仮の意と、借りる意を掛ける
- 作者
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遊女妙(新古今集による)
- 出典
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山家集
- 前の歌
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世の中を厭ふまでこそ難からめ かりの宿りを惜しむ君かな
- 次の歌
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世を捨てて谷底に住む人見よと 峰の木の間を分くる月影