世を捨てて谷底に住む人見よと
峰の木の間を分くる月影
- 歌の意味
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世を捨てて谷底に住む人よ、見よと言わんばかりに、峰の木々の間を分けて差しこんでくる月の光であることだ。
- 鑑賞
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雑歌 754
詞書「ある人世を遁れて、北山寺に籠り居たりと聞きて、尋ねまかりたりけるに、月の明かかりければ」
ある人が出家して北山の寺に籠もっていると聞いて訪ねて行ったところ、月が明るかったので詠んだ歌である。世を捨てて谷底に住む人よ、見よと言うかのように、峰の木々の間を分けて月の光が差しこんでくる、と詠む。谷底の庵にまで届く月の光に、遁世者を照らす仏の光を重ねている。
初句「世を捨てて」は、出家して、の意である。
二句「谷底に住む」は、谷の底に住む、の意で、北山寺に籠もる人をいう。
三句「人見よと」は、人よ、見よと、の意で、月が呼びかけるかのように表している。
四句「峰の木の間を」は、峰の木々の間を、の意で、二句の「谷底」と上下の対比をなしている。
結句「分くる月影」は体言止めで、木々の間を分けて差しこむ月の光で結ぶ。
つきかげ:月の光
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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家を出づる人とし聞けばかりの宿 心とむなと思ふばかりぞ
- 次の歌
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悔しきはよしなき君に馴れ初めて 厭ふ都の偲ばれぬべき