悔しきはよしなき君に馴れ初めて
厭ふ都の偲ばれぬべき
- 歌の意味
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悔やまれるのは、本来近づくすべもないあなた様に馴れ親しんでしまったために、厭い捨てるはずの都がきっと恋しく偲ばれるだろうことです。
- 鑑賞
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雑歌 755
詞書「ある宮腹に付け仕うまつりける女房、世を背きて、都離れて遠くまからんと思ひ立ちて、参らせけるに代はりて」
ある皇女の御所に仕えていた女房が、出家して都を離れ遠くへ行こうと思い立ち、その皇女に歌を差し上げる際に、西行がその女房に代わって詠んだ歌である。本来近づくすべもない宮様にお仕えして親しんでしまったために、捨てて去るはずの都がきっと恋しくなるだろうことが悔やまれる、と詠み、主への名残の深さを述べている。
初句「悔しきは」は、悔やまれることは、の意である。
二句「よしなき君に」の「よしなし」は、縁がない、近づくすべもない、の意で、身分の隔たった宮をいう。
三句「馴れ初めて」は、親しみ始めて、の意である。
四句「厭ふ都の」は、捨て去ろうとする都の、の意である。
結句「偲ばれぬべき」の「ぬべし」は、きっと〜するにちがいない、の意で、初句の「悔しきは」を受けて連体形で結んでいる。
みやばら:皇女、また皇女の御所
よしなし:縁がない、手だてがない
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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世を捨てて谷底に住む人見よと 峰の木の間を分くる月影
- 次の歌
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さらぬだに世のはかなさを思ふ身に 鵺鳴き渡る曙の空