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鳥辺野を心のうちに分けゆけば
いぶきの露に袖ぞそほつる

歌の意味
鳥辺野を心のなかで分け入ってゆくと、いぶきの露に袖がしっとりと濡れることだ。
鑑賞
雑歌 757

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 京の東山の鳥辺野は火葬の地として知られた所である。実際に訪れるのではなく、心のなかで鳥辺野を分け入ってゆくと、いぶきに置く露に袖が濡れる、と詠む。死者を送る地を思うだけで涙がこぼれる、という無常の思いを、露に濡れる袖として表している。

 初句「鳥辺野を」の「鳥辺野」は、京の東山にあった火葬の地で、無常の象徴として詠まれる。
 二句「心のうちに」は、心のなかで、の意で、実際に行くのではなく思いやることをいう。
 三句「分けゆけば」は、草を分けて進んでゆくと、の意である。
 四句「いぶきの露に」の「いぶき」は草木の名とされるが、定かでない。露は涙を暗示している。
 結句「袖ぞそほつる」の「ぞ」は係助詞で、「そほつる」と係り結びをなしている。「そほつ」は、しっとりと濡れる、の意である。

とりべの:京の東山にあった火葬の地
そほつ:しっとりと濡れる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
さらぬだに世のはかなさを思ふ身に 鵺鳴き渡る曙の空
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いつの世に長き眠りの夢覚めて 驚くことのあらんとすらん