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亡き人もあるを思ふも世の中は
眠りのうちの夢とこそ見れ

歌の意味
亡くなった人のことも、生きている人のことを思うのも、この世のことはすべて眠りのなかの夢と見ることだ。
鑑賞
雑歌 760

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 亡くなった人を思うのも、生きている人を思うのも、この世のことはすべて眠りのなかで見る夢のようなものだ、と詠む。生と死の区別さえ夢の中のこととしてとらえ、世の無常を述べている。

 初句「亡き人も」は、亡くなった人も、の意である。
 二句「あるを思ふも」の「ある」は、生きている人の意で、初句の「亡き人」と対になっている。
 三句「世の中は」は、この世のことは、の意である。
 四句「眠りのうちの」は、眠りのなかの、の意で、第七百五十八首の「長き眠り」と同じく迷いの世をたとえている。
 結句「夢とこそ見れ」は、係助詞「こそ」と已然形「見れ」による係り結びで、夢と見ることだ、と強めて結ぶ。

なきひと:亡くなった人
作者
西行
出典
山家集
前の歌
世の中を夢と見る見るはかなくも なほ驚かぬ我が心かな
次の歌
来し方の見し世の夢に変はらねば 今もうつつの心地やはする