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こととなく今日暮れぬめり明日もまた
変はらずこそは隙過ぐる影

歌の意味
これということもなく今日も暮れてしまったようだ。明日もまた変わらずに、隙間を過ぎる光のように月日は早く過ぎてゆくのだろう。
鑑賞
雑歌 762

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 これということもなく今日も暮れてしまったようだ、明日もまた同じように、隙間を過ぎる光のように時はたちまち過ぎてゆく、と詠む。月日の過ぎる速さを、荘子の「白駒の隙を過ぐるがごとし」という言葉を踏まえて表し、むなしく過ぎてゆく日々への嘆きを述べている。

 初句「こととなく」は、これということもなく、の意である。
 二句「今日暮れぬめり」の「めり」は推定の助動詞で、今日も暮れてしまったようだ、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「明日もまた」は、明日もまた、の意で、二句の「今日」と対になっている。
 四句「変はらずこそは」の「こそは」は強めで、変わらずに、の意である。
 結句「隙過ぐる影」は体言止めで、隙間を過ぎる光、すなわちたちまち過ぎる月日をたとえて結ぶ。

ひま:すきま
かげ:光
作者
西行
出典
山家集
前の歌
来し方の見し世の夢に変はらねば 今もうつつの心地やはする
次の歌
越えぬればまたもこの世に帰り来ぬ 死出の山こそ悲しかりけれ