- 歌の意味
- 一度越えてしまえば、二度とこの世に帰って来ることのない死出の山こそ、悲しいものであることだ。
- 鑑賞
-
雑歌 763
詞書は前の歌に続き「題しらず」
一度越えてしまえば、もう二度とこの世に帰って来られない死出の山こそ悲しいものだ、と詠む。死の不可逆さを、冥途の山を越えるという形で表している。
初句「越えぬれば」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、越えてしまうと、の意である。
二句「またもこの世に」は、再びこの世に、の意である。
三句「帰り来ぬ」は、帰って来ない、の意である。
四句「死出の山こそ」の「死出の山」は、死者が越えてゆくという冥途の山で、「こそ」は係助詞である。
結句「悲しかりけれ」は、係助詞「こそ」の結びの已然形で、悲しいことだ、と結ぶ。
しでのやま:死者が越えてゆくという冥途の山
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- こととなく今日暮れぬめり明日もまた 変はらずこそは隙過ぐる影
- 次の歌
- はかなしやあだに命の露消えて 野辺に我が身や送りおくらん