捨てやらで命を終ふる人はみな
千々の黄金を持て帰るなり
- 歌の意味
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執着を捨てきれないで命を終える人はみな、范蠡の長男のように、千々の黄金を惜しんで持ち帰るようなものである。
- 鑑賞
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雑歌 769
詞書「范蠡長男の心を」
題「范蠡長男の心」は、中国の史記に見える范蠡の長男の故事による。范蠡の次男が楚で罪を得たとき、長男は弟を救うため千金を託されて楚に赴いたが、その金を惜しんで持ち帰ったために、弟は処刑されてしまった。この歌では、この世への執着を捨てきれずに命を終える人はみな、その長男が黄金を惜しんで持ち帰ったのと同じで、救いを得る機会を失ってしまう、と詠んでいる。
初句「捨てやらで」は、捨てきれないで、の意で、この世への執着を断ち切れないことをいう。
二句「命を終ふる」は、命を終える、の意である。
三句「人はみな」は、そういう人はみな、の意である。
四句「千々の黄金を」は、たくさんの黄金を、の意で、范蠡の長男が託された千金をいう。
結句「持て帰るなり」は、持ち帰るのである、の意で、故事の長男の行いに執着を重ねて結ぶ。
はんれい:中国春秋時代の越の功臣
こがね:黄金
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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年月をいかで我が身に送りけん 昨日の人も今日はなき世に
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つき果てしその入相のほどなさを この暁に思ひ知りぬる