- 歌の意味
- 亡き人を霞んだ空に紛れさせてしまうのは、この世とあの世との道を隔てようとする霞の心なのであろう。
- 鑑賞
-
雑歌 771
詞書「寄霞無常を」
題「寄霞無常」は、霞に寄せて無常を詠む題である。亡き人を霞のかかった空に紛れさせてしまうのは、この世とあの世の道を隔てようとする霞の心なのだろう、と詠む。火葬の煙が春の霞に紛れて見えなくなるさまに、死者との隔たりを感じている。
初句「亡き人を」は、亡くなった人を、の意である。
二句「霞める空に」は、霞のかかっている空に、の意で、題の「霞」に当たる。
三句「まがふるは」の「まがふ」は、紛れさせる、見分けがつかなくする、の意である。
四句「道を隔つる」は、この世とあの世との道を隔てる、の意である。
結句「心なるべし」の「べし」は推量の助動詞で、霞の心であるのだろう、と結ぶ。
まがふ:紛れさせる、見分けがつかなくする
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- つき果てしその入相のほどなさを この暁に思ひ知りぬる
- 次の歌
- 散ると見ればまた咲く花のにほひにも 遅れ先立つためしありけり