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月を見ていづれの年の秋までか
この世に我がちさりあるらん

歌の意味
こうして月を眺めながら、いったいどの年の秋まで、この世に生きてこの月を見る宿縁が私にはあるのだろうか。
鑑賞
雑歌 773

詞書「月前述懐」
 題「月前述懐」は、月を前にして思いを述べる題である。こうして月を眺めていられるのは、いったい何年の秋までなのだろうか、この世に生きる宿縁がいつまであるのだろう、と詠む。美しい月を前に、自らの命の限りを思っている。

 初句「月を見て」は、月を眺めて、の意で、題の「月前」に当たる。
 二句「いづれの年の」は、どの年の、の意で、疑問を表す。
 三句「秋までか」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
 四句「この世に我が」は、この世に私の、の意である。
 結句「ちさりあるらん」は、本文に「ちさり」とあるが、「ちぎり」すなわち宿縁の意に解する。「らん」は現在推量の助動詞で、宿縁があるのだろうか、と結ぶ。

ちぎり:前世からの因縁、宿縁
作者
西行
出典
山家集
前の歌
散ると見ればまた咲く花のにほひにも 遅れ先立つためしありけり
次の歌
いかでわれ今宵の月を身に添へて 死出の山路の人を照らさん