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いかでわれ今宵の月を身に添へて
死出の山路の人を照らさん

歌の意味
どうにかして私は、今宵のこの月を身に添えて、死出の山路をゆく人々を照らしてやりたい。
鑑賞
雑歌 774

詞書「七月十五夜、月明かかりけるに、船岡にまかりて」
 七月十五日の夜、月が明るかったので船岡に出かけて詠んだ歌である。七月十五日は盂蘭盆の日で、船岡は京の北の葬送の地として知られた。死者をしのぶこの夜の明るい月を身に添えて、死出の山路をゆく人々を照らしてやりたい、と詠み、亡き人々への慈しみを述べている。

 初句「いかでわれ」の「いかで」は、どうにかして、の意の願望を表す。
 二句「今宵の月を」は、今宵の月を、の意で、詞書の「七月十五夜」の明月をいう。
 三句「身に添へて」は、わが身に添えて、の意である。
 四句「死出の山路の」は、死者が越えてゆく冥途の山路の、の意で、葬送の地である船岡にふさわしい。
 結句「人を照らさん」の「ん」は意志の助動詞で、人々を照らしたい、と結ぶ。

しでのやまぢ:死者が越えてゆくという冥途の山路
作者
西行
出典
山家集
前の歌
月を見ていづれの年の秋までか この世に我がちさりあるらん
次の歌
その折の蓬が下の枕にも かくこそ虫の音には睦れめ