- 歌の意味
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死んだその時の、蓬の生い茂る下の墓の枕辺でも、きっとこのように虫の声に親しむことであろう。
- 鑑賞
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雑歌 775
詞書「物心細くあはれなりける折しも、きりぎりすの声の枕に近く聞こえければ」
何となく心細くしみじみとした折に、こおろぎの声が枕元近くに聞こえたので詠んだ歌である。自分が死んで蓬の生い茂る墓の下に横たわる時にも、今と同じように虫の声に親しむのだろう、と詠む。枕元の虫の声から、死後の自らの姿を思い描いている。
初句「その折の」は、その時の、の意で、自分が死んだ時をいう。
二句「蓬が下の」は、蓬の生い茂る下の、の意で、荒れた墓所をいう。
三句「枕にも」は、その墓の下の枕辺にも、の意で、詞書の「枕に近く」を受けている。
四句「かくこそ虫の」の「こそ」は係助詞で、結句の「め」と係り結びをなしている。
結句「音には睦れめ」の「睦る」は親しむ、慣れ親しむの意で、「め」は推量の助動詞「む」の已然形で、親しむことだろう、と結ぶ。
きりぎりす:今のこおろぎ
むつる:慣れ親しむ、親しくまとわりつく
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いかでわれ今宵の月を身に添へて 死出の山路の人を照らさん
- 次の歌
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鳥辺野や鷲の高嶺の末ならん 煙を分けて出づる月影