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尋ぬとも風の伝にも聞かじかし
花と散りにし君が行方を

歌の意味
たとえ尋ねたとしても、風の便りにさえ聞くことはできないだろう。花と散ってしまわれた女院の行方を。
鑑賞
雑歌 779

詞書「待賢門院、隠れさせおはしましにける御跡に、人々、またの年の御果てまで候はれけるに、南面の花散りける頃、堀川の局のもとへ申し送りける」
 待賢門院が亡くなった後、仕えていた女房たちが翌年の一周忌まで御所に控えていたが、南面の桜が散る頃、女房の堀河の局のもとへ西行が送った歌である。たとえ尋ねても、風の便りにさえ聞くことはできないだろう、花と散ってしまわれた女院の行方を、と詠み、散る桜に女院の死を重ねて悲しんでいる。西行は待賢門院とその女房たちと親しかった。

 初句「尋ぬとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞で、たとえ尋ねても、の意である。
 二句「風の伝にも」は、風の便りにも、の意で、花を散らす風の縁で用いている。
 三句「聞かじかし」の「じ」は打消推量の助動詞、「かし」は念押しの終助詞で、聞くことはできないだろう、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「花と散りにし」は、花として散ってしまった、の意で、詞書の「南面の花散りける」を受け、女院の死をたとえている。
 結句「君が行方を」は、女院の行方を、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

かくれさせおはします:お亡くなりになる
おんはて:一周忌
かぜのつて:風の便り
作者
西行
出典
山家集
前の歌
もろともに眺め眺めて秋の月 ひとりにならんことぞ悲しき
次の歌
吹く風の行方知らするものならば 花と散るにも遅れざらまし