今宵こそ思ひ知らるれ浅からぬ
君に契りのある身なりけり
- 歌の意味
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今宵こそ思い知らされることだ。わが身は、君との間に浅くない宿縁のある身であったのだ。
- 鑑賞
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雑歌 782
詞書「一院隠れさせおはしまして、やがての御所へ渡しまゐらせける夜、高野より出で合ひて参り合ひたりける、いと悲しかりけり、この、後おはしますべき所御覧じ始めけるそのかみの御供に、右大臣実能、大納言と申しける、候はれけり、忍ばせおはしますことにて、又人候はざりけり、その御供に候ひけることの思ひ出でられて、折しも今宵に参り合ひたる、昔今の事思ひ続けられてよみける」
保元元年(1156)に鳥羽院が亡くなり、御陵となる御所へ遺骸をお移しした夜、西行はたまたま高野山から出て来て参り合わせ、たいへん悲しく思った。かつて鳥羽院が、亡くなった後に入るべき所を初めてご覧になった時、まだ大納言であった右大臣藤原実能がお供をしたが、ひそかなお出ましであったため、ほかに供の者はなく、西行も北面の武士としてそのお供をしていた。そのことが思い出され、ちょうど今宵に参り合わせたことに、昔と今のことを思い続けて詠んだ歌である。今宵こそ、自分は院と浅からぬ宿縁で結ばれた身であったと思い知らされた、と詠む。
初句「今宵こそ」の「こそ」は係助詞で、二句の「るれ」と係り結びをなしている。
二句「思ひ知らるれ」の「るれ」は自発の助動詞「る」の已然形で、自然と思い知らされる、の意である。ここで句切れとなる。
三句「浅からぬ」は、浅くない、深い、の意である。
四句「君に契りの」の「君」は鳥羽院、「契り」は前世からの宿縁をいう。
結句「ある身なりけり」の「なりけり」は気づきの詠嘆で、そういう身であったのだ、と結ぶ。
いちゐん:上皇が複数いる時の第一の上皇、ここでは鳥羽院
ちぎり:前世からの因縁、宿縁
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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磨かれし玉の住みかを露深き 野辺に移して見るぞ悲しき
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道変はる御幸悲しき今宵かな 限りの旅と見るにつけても