重ね着る藤の衣をたよりにて
心の色を染めよとぞ思ふ
- 歌の意味
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重ねて着る喪服の藤衣をきっかけとして、心の色をも仏の道に染めなさい、と思うことだ。
- 鑑賞
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雑歌 785
詞書「右大将公能、父の服のうちに母亡くなりぬと聞きて、高野より弔ひ申しける」
右大将藤原公能が父の実能の喪に服している間に、母も亡くなったと聞いて、高野山から弔いを申し送った歌である。父と母の喪が重なり、藤衣を重ねて着ることになったが、それをよすがとして、心の色をも仏道に染めなさい、と詠む。悲しみを仏道への機縁にするよう勧めている。
初句「重ね着る」は、重ねて着る、の意で、父と母の喪が重なったことをいう。
二句「藤の衣を」の「藤の衣」は、藤の繊維で織った粗末な衣で、喪服をいう。
三句「たよりにて」は、よすがとして、きっかけとして、の意である。
四句「心の色を」は、心のありようを色にたとえたもので、二句の「藤の衣」の色と対になっている。
結句「染めよとぞ思ふ」の「ぞ」は係助詞で、「思ふ」と係り結びをなし、染めなさいと思う、と結ぶ。
ふぢのころも:藤の繊維で織った粗末な衣、喪服
ぶく:喪に服すること、またその期間
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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問はばやと思ひ寄らでぞ嘆かまし 昔ながらの我が身なりせば
- 次の歌
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藤衣重ぬる色は深けれど 浅き心の染まぬはかなさ