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藤衣重ぬる色は深けれど
浅き心の染まぬはかなさ

歌の意味
重ねて着る藤衣の色は深いけれども、浅はかな心は仏道に染まらない、そのはかなさよ。
鑑賞
雑歌 786

詞書「返し」
 前歌への藤原公能の返歌である。重ねて着る喪服の色は深いけれども、浅はかな自分の心は仏道に染まらない、そのはかなさよ、と詠む。前歌の「重ね着る藤の衣」「心の色を染めよ」を受け、衣の色の深さと心の浅さとを対比させて謙遜している。

 初句「藤衣」は、喪服の意で、前歌の二句「藤の衣」を受けている。
 二句「重ぬる色は」は、重ねて着る衣の色は、の意で、前歌の初句「重ね着る」を受けている。
 三句「深けれど」は、深いけれども、の意である。
 四句「浅き心の」は、浅はかな心の、の意で、三句の「深けれど」と対になっている。
 結句「染まぬはかなさ」は体言止めで、仏道に染まらないはかなさよ、と前歌の「染めよ」を受けて結ぶ。

ふぢごろも:藤の繊維で織った粗末な衣、喪服
作者
藤原公能
出典
山家集
前の歌
重ね着る藤の衣をたよりにて 心の色を染めよとぞ思ふ
次の歌
君がため秋は世に憂き折なれや 去年も今年も物思ひにて