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限りなく悲しかりけり鳥辺山
亡きを送りて帰る心は

歌の意味
このうえなく悲しいことであった。鳥辺山に亡き人を送って、帰ってくるときの心は。
鑑賞
雑歌 790

詞書「ゆかりありける人はかなくなりにけり、とかくのわざに鳥辺山へまかりて、帰りけるに」
 縁のあった人が亡くなり、葬送のために鳥辺山へ行って帰る途中で詠んだ歌である。亡き人を送って帰ってくる心は、このうえなく悲しいものであった、と詠む。送り出した後の空虚さと悲しみを、率直に述べている。

 初句「限りなく」は、このうえなく、の意である。
 二句「悲しかりけり」の「けり」は詠嘆の助動詞で、悲しいことであった、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「鳥辺山」は、京の東山の葬送の地で、第七百五十七首や第七百七十六首の「鳥辺野」と同じ地をいう。
 四句「亡きを送りて」は、亡き人を送って、の意である。
 結句「帰る心は」は、帰る心は、の意で、倒置によって二句を受けて結ぶ。

とりべやま:京の東山にあった葬送の地
とかくのわざ:葬送のさまざまな儀式
作者
西行
出典
山家集
前の歌
思ひ出づる情けを人の同じくは その折訪へな嬉しからまし
次の歌
このたびは先々見けん夢よりも 覚めずや物は悲しかるらん