このたびは先々見けん夢よりも
覚めずや物は悲しかるらん
- 歌の意味
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今度のことは、これまでに見たであろう夢よりも、いっこうに覚めることもなく、いっそう悲しく思われるのであろうか。
- 鑑賞
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雑歌 791
詞書「親隠れ、頼みたりける婿なども失せて、嘆きしける人の、又ほどなく娘にさへ後れにけりと聞きて、弔ひけるに」
親を亡くし、頼りにしていた婿なども亡くして嘆いていた人が、またほどなく娘にまで先立たれたと聞いて、弔いに贈った歌である。これまでの不幸も夢のようであったが、今度の悲しみは、それらの夢よりもいっそう覚めることなく悲しいのではないか、と相手の重なる悲しみを思いやっている。
初句「このたびは」は、今度のことは、の意で、娘の死をいう。
二句「先々見けん」は、これまでに見たであろう、の意で、「けん」は過去推量の助動詞である。
三句「夢よりも」は、夢よりも、の意で、親や婿の死をはかない夢にたとえている。
四句「覚めずや物は」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
結句「悲しかるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、悲しいのであろうか、と結ぶ。
おくる:後に残る、先立たれる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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限りなく悲しかりけり鳥辺山 亡きを送りて帰る心は
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今宵君死出の山路の月を見て 雲の上をや思ひ出づらん