今宵君死出の山路の月を見て
雲の上をや思ひ出づらん
- 歌の意味
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今宵わが君は、死出の山路で月をご覧になって、宮中のことを思い出していらっしゃるのだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 792
詞書「五十日の果てつ方に二条院の御墓に御仏供養しける人に具して参りたりけるに、月明くてあはれなりければ」
二条院が亡くなって五十日が終わる頃、その御陵で仏事の供養を行う人に同行して参ったところ、月が明るくしみじみとしていたので詠んだ歌である。今宵、院は死出の山路で同じ月を見て、宮中のことを思い出しておられるのだろうか、と亡き院の心を思いやっている。
初句「今宵君」の「君」は亡くなった二条院をいう。
二句「死出の山路の」は、死者が越えてゆく冥途の山路の、の意である。
三句「月を見て」は、月を見て、の意で、詞書の「月明くて」を受けている。
四句「雲の上をや」の「雲の上」は宮中のことで、月の縁で用いている。「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
結句「思ひ出づらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、思い出していらっしゃるのだろうか、と結ぶ。
くものうへ:宮中、内裏
いかのはて:人の死後五十日目の終わり
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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このたびは先々見けん夢よりも 覚めずや物は悲しかるらん
- 次の歌
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かくれにし君がみかげの恋しさに 月に向かひて音をや泣くらん