- 歌の意味
- わが君の光がお隠れになったあの夕べから、私は闇に迷っている。月は澄んで照っているけれども。
- 鑑賞
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雑歌 794
詞書「返し」
前歌への三河内侍の返歌である。わが君の光が隠れたあの夕べから、月は澄んで照っていても、私は闇に迷っている、と詠む。前歌の「かくれ」「月」を受け、院を光にたとえて、その死によって心が闇に閉ざされた悲しみを述べている。
初句「わが君の」は、亡くなった二条院をいう。
二句「光隠れし」は、光が隠れた、の意で、院の崩御を光が隠れることにたとえ、前歌の初句「かくれにし」を受けている。
三句「夕より」は、本文の「夕」を「ゆふべ」と読み、あの夕べから、の意である。
四句「闇にぞ迷ふ」は、係助詞「ぞ」と連体形「迷ふ」による係り結びで、闇に迷っている、の意である。ここで句切れとなる。
結句「月は澄めども」は、月は澄んでいるけれども、の意で、四句の「闇」と月の光とを対比させて結ぶ。
ゆふべ:夕暮れ時
- 作者
- 三河内侍
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- かくれにし君がみかげの恋しさに 月に向かひて音をや泣くらん
- 次の歌
- いにしへを恋ふる涙の色に似て 袂に散るは紅葉なりけり