いにしへを恋ふる涙の色に似て
袂に散るは紅葉なりけり
- 歌の意味
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昔を恋い慕う紅の涙の色に似て、袂に散りかかるのは紅葉であったよ。
- 鑑賞
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雑歌 795
詞書「寄紅葉懐旧といふ事を、宝金剛院にてよみける」
題「寄紅葉懐旧」は、紅葉に寄せて昔をしのぶ題である。法金剛院は待賢門院が建立した寺で、西行にとっては女院をしのぶゆかりの地であった。昔を恋い慕うあまりに流す紅の涙の色に似て、袂に散りかかるのは紅葉であった、と詠む。紅葉の赤さを、深い悲しみのあまりに流すという紅の涙に重ねている。
初句「いにしへを」は、昔を、の意で、題の「懐旧」に当たる。
二句「恋ふる涙の」は、恋い慕って流す涙の、の意である。
三句「色に似て」は、その色に似て、の意で、深い悲しみの涙は紅に染まるとされたことによる。
四句「袂に散るは」は、袂に散りかかるのは、の意で、涙の落ちる袂に紅葉が散ることを重ねている。
結句「紅葉なりけり」の「なりけり」は気づきの詠嘆で、紅葉であったよ、と結ぶ。題の「紅葉」に当たる。
たもと:袖、また袖の下の垂れた部分
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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わが君の光隠れし夕より 闇にぞ迷ふ月は澄めども
- 次の歌
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繁き野をいく一むらに分けなして さらに昔を偲び返さん