繁き野をいく一むらに分けなして
さらに昔を偲び返さん
- 歌の意味
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草の生い茂った野となった庭を、いくつかの一むらに分けて、改めて昔のありさまを偲び返そう。
- 鑑賞
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雑歌 796
詞書「故郷述懐といふ事を、常盤の家にて為業よみけるに、まかり合ひて」
題「故郷述懐」は、荒れた旧居に寄せて思いを述べる題である。藤原為業が常盤の家でこの題で歌を詠んだ折に、西行も参り合わせて詠んだ歌である。草の生い茂った野のようになった庭を、いくつかの一むらに分けて、改めて昔のありさまを偲び返そう、と詠む。荒れた旧居の庭に、かつての日々をよみがえらせようとする懐旧の思いがこもっている。
初句「繁き野を」は、草が生い茂った野を、の意で、荒れた故郷の庭をいう。
二句「いく一むらに」の「一むら」は、草などのひとかたまりの意である。
三句「分けなして」は、分けて、の意である。
四句「さらに昔を」は、改めて昔を、の意で、題の「述懐」に当たる。
結句「偲び返さん」の「ん」は意志の助動詞で、偲び返そう、と結ぶ。
ひとむら:草などのひとかたまり
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いにしへを恋ふる涙の色に似て 袂に散るは紅葉なりけり
- 次の歌
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紅葉見て君がためとや時雨るらん 昔の秋の色を慕ひて