- 歌の意味
- この世では二度と会えないであろう悲しさに、念仏を勧めていた私のほうが、かえって心乱れてしまった。
- 鑑賞
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雑歌 806
詞書「かへし」
前歌への西行の返歌である。この世では二度と会えない悲しさに、臨終の上人に念仏を勧めていた私のほうが、かえって心が乱れてしまった、と詠む。前歌の「乱れず」を受け、往生した上人とは逆に、自分の心が乱れたと述べている。
初句「この世にて」は、この世では、の意である。
二句「また逢ふまじき」の「まじ」は打消推量の助動詞で、二度と会えないであろう、の意である。
三句「悲しさに」は、悲しさのために、の意である。
四句「勧めし人ぞ」は、念仏を勧めた人、すなわち西行自身をいう。「ぞ」は係助詞で、結句の「し」と係り結びをなしている。
結句「心乱れし」は、心が乱れた、の意で、前歌の初句「乱れず」と対になっている。
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- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 乱れずと終り聞くこそ嬉しけれ さても別れは慰まねども
- 次の歌
- 入るさには拾ふ形見も残りけり 帰る山路の友は涙か