- 歌の意味
- 悲しみに伏し沈んでいるこの身に、まだ心というものがあるならば、さらに嘆きも加わる心地もするであろうが。
- 鑑賞
-
雑歌 810
詞書「返し」
前歌への返歌で、作者の名は記されていない。悲しみに伏し沈んでいる身にまだ心があるならば、さらに嘆きが加わる心地もするだろうが、と詠み、悲しみのあまり心も失せたほどであることを述べている。前歌の「さらに嘆きや添ふ心地する」をほぼそのまま受けて応じている。
初句「伏し沈む」は、悲しみに伏して沈む、の意である。
二句「身には心の」は、この身に心が、の意である。
三句「あらばこそ」は、あるならばこそ、の意で、係助詞「こそ」は結句の「め」と係り結びをなしている。
四句「さらに嘆きも」は、前歌の四句「さらに嘆きや」を受けている。
結句「添ふ心地せめ」は、加わる心地もしようが、の意で、前歌の結句を受けて結ぶ。
ふししづむ:悲しみに伏して沈む
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 行き散らん今日の別れを思ふにも さらに嘆きや添ふ心地する
- 次の歌
- たぐひなき昔の人の形見には 君をのみこそ頼みましけれ