たぐひなき昔の人の形見には
君をのみこそ頼みましけれ
- 歌の意味
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比べるもののない亡き人の形見としては、あなただけを頼りにしたいと思うのに。
- 鑑賞
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雑歌 811
詞書「この歌も返しのほかに具せられたりける」
前歌の返歌とは別に添えられていた歌で、作者は前歌と同じく名が記されていない。比べるもののない亡き成通の形見としては、あなただけを頼りにしたい、と詠み、故人と親しかった西行を故人の形見として慕う心を述べている。
初句「たぐひなき」は、比べるもののない、の意である。
二句「昔の人の」の「昔の人」は、亡くなった人の意で、成通をいう。
三句「形見には」は、形見としては、の意である。
四句「君をのみこそ」の「のみ」は限定で、あなただけを、の意である。「こそ」は係助詞で、結句と係り結びをなしている。
結句「頼みましけれ」の「ましけれ」は反実仮想の助動詞「まし」の已然形で、頼りにしたいと思うのに、と結ぶ。
むかしのひと:亡くなった人
かたみ:思い出のよすがとなるもの
- 出典
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山家集
- 前の歌
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伏し沈む身には心のあらばこそ さらに嘆きも添ふ心地せめ
- 次の歌
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いにしへの形見になると聞くからに いとど露けき墨染の袖