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亡き跡も今日まではなほ残りけるを
明日や別れを添へて偲ばん

歌の意味
亡き人の跡も、今日まではまだ残っていたのに、明日からは、人々との別れまでも加えて偲ぶのだろうか。
鑑賞
雑歌 813

詞書「同じ日、のりつなが許へ遣はしける」
 成通の法事が終わって僧たちが帰っていった同じ日に、のりつなという人のもとへ贈った歌である。のりつなは成通に近く仕えた人と見られるが、詳しいことはわからない。亡き人の名残も今日までは残っていたが、明日からは人々との別れも加えて偲ぶことになるのだろうか、と詠む。

 初句「亡き跡も」は、亡き人の跡も、の意である。
 二句「今日まではなほ」は、今日まではまだ、の意で、六音の字余りである。
 三句「残りけるを」の「を」は逆接の接続助詞で、残っていたのに、の意である。六音の字余りである。
 四句「明日や別れを」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「ん」と係り結びをなしている。二句の「今日」と対になっている。
 結句「添へて偲ばん」は、加えて偲ぶのだろうか、の意である。

なきあと:亡き人の残したもの、死後
作者
西行
出典
山家集
前の歌
いにしへの形見になると聞くからに いとど露けき墨染の袖
次の歌
思へただ今日の別れの悲しさに 姿を変へて偲ぶ心を