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流れゆく水に玉なすうたかたの
あはれあだなるこの世なりけり

歌の意味
流れてゆく水の上に玉のように浮かぶ泡のように、ああ、はかないこの世であることよ。
鑑賞
雑歌 817

詞書「院の二位のつねみまかりける跡に、十首歌人々よみけるに」
 院の二位が亡くなった後、人々が十首の歌を詠んだ折の作で、ここから第八百二十六首まで十首が続く。院の二位は後白河院の乳母で、藤原通憲(信西)の妻であった紀伊二位藤原朝子とされる。流れる水の上に玉のように浮かぶ泡のように、この世ははかない、と詠み、十首の初めに世の無常を述べている。

 初句「流れゆく」は、流れてゆく、の意である。
 二句「水に玉なす」は、水の上に玉のような形をなす、の意である。
 三句「うたかたの」の「うたかた」は水の泡のことで、はかないもののたとえである。「の」は比喩を表し、下に続く。
 四句「あはれあだなる」の「あはれ」は感動詞で、ああ、の意である。「あだ」は、はかない、の意である。
 結句「この世なりけり」の「なりけり」は気づきの詠嘆で、この世であることよ、と結ぶ。

うたかた:水の泡
あだ:はかない、むなしい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
頼もしき道には入りて行きしかど 我が身をつめばいかがとぞ思ふ
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消えぬめるもとの雫を思ふにも 誰かは末の露の身ならぬ