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あらぬ世の別れは今日ぞ憂かりける
浅茅が原を見るにつけても

歌の意味
この世ならぬあの世へと隔たる別れは、今日こそつらく思われることだ。浅茅の原を見るにつけても。
鑑賞
雑歌 821

詞書は前の歌に続き「院の二位のつねみまかりける跡に、十首歌人々よみけるに」
 十首の五首目である。この世とは異なる世へと隔てられた別れは、今日こそつらく思われる、荒れた浅茅の原を見るにつけても、と詠む。浅茅の原は荒れ果てた墓所のさまで、その寂しさに別れのつらさが改めて迫ってくることを述べている。

 初句「あらぬ世の」は、この世とは異なる世の、の意で、あの世をいう。
 二句「別れは今日ぞ」の「ぞ」は係助詞で、三句の「ける」と係り結びをなしている。
 三句「憂かりける」は、つらいことだ、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「浅茅が原を」の「浅茅が原」は、丈の低い茅の生えた荒れ野で、墓所のさまをいう。
 結句「見るにつけても」は、見るにつけても、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

あらぬよ:この世とは異なる世、あの世
あさぢがはら:丈の低い茅が生えた荒れ野
作者
西行
出典
山家集
前の歌
船岡の裾野の塚の数添へて 昔の人に君をなしつる
次の歌
後の世を訪へと契りし言の葉や 忘らるまじき形見なるべき