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名残さへほどなく過ぎばかなし世に
七日の数を重ねずもがな

歌の意味
故人の名残さえほどなく過ぎ去ってしまうのならば悲しい。この世で七日ごとの法事の数を重ねずにいたいものだ。
鑑賞
雑歌 825

詞書は前の歌に続き「院の二位のつねみまかりける跡に、十首歌人々よみけるに」
 十首の九首目である。死後七日ごとに法事を営み、四十九日で区切りとなるが、その数を重ねるたびに故人の名残が薄れてゆく。名残さえほどなく過ぎてしまうのならば悲しい、七日の数を重ねずにいたいものだ、と詠み、時の過ぎることへの抵抗を述べている。

 初句「名残さへ」の「名残」は、故人の残した気配や思い出の意で、「さへ」は、〜までも、の意である。
 二句「ほどなく過ぎば」は、まもなく過ぎ去ってしまうならば、の意である。
 三句「かなし世に」は、悲しい、この世で、の意で、二句から続けて「過ぎば悲し」と句をまたいでいる。
 四句「七日の数を」は、七日ごとに営む法事の数を、の意である。
 結句「重ねずもがな」の「もがな」は願望の終助詞で、重ねずにいたいものだ、と結ぶ。

なごり:物事の過ぎ去った後に残る気配、余韻
なぬか:死後七日ごとに営む法事
作者
西行
出典
山家集
前の歌
跡を訪ふ道にや君は入りぬらん 苦しき死出の山へかからで
次の歌
跡偲ぶ人にさへまた別るべき その日をかねて散る涙かな