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君にさへたち別れつつ今日よりぞ
慰む方はげになかりける

歌の意味
あなたにまで別れてしまって、今日からは、心を慰める手だてが本当になくなってしまったことだ。
鑑賞
雑歌 832

詞書「返し」
 前歌への藤原脩範の返歌である。あなたにまで別れてしまって、今日からは心を慰める手だてが本当になくなってしまった、と詠む。前歌の「昨日にさへも」に「君にさへ」で応じ、母の法事の間に支えとなってくれた西行への思いを述べている。

 初句「君にさへ」は、あなたにまで、の意で、前歌の四句「昨日にさへも」に応じている。
 二句「たち別れつつ」は、別れて、の意で、前歌の結句「また別れつつ」を受けている。
 三句「今日よりぞ」の「ぞ」は係助詞で、結句の「ける」と係り結びをなしている。
 四句「慰む方は」は、心を慰める手だては、の意である。
 結句「げになかりける」の「げに」は、本当に、の意で、係助詞「ぞ」の結びの連体形で結ぶ。

げに:本当に、なるほど
作者
藤原脩範
出典
山家集
前の歌
今朝いかに思ひの色のまさるらん 昨日にさへもまた別れつつ
次の歌
訪へかしな別れの袖に露しげき 蓬が下の心細さを