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別れにし人をふたたび跡を見ば
恨みやせまし訪はぬ心を

歌の意味
亡くなった兄が、もし再びこの世の跡を見るならば、弔いに訪れないあなたの心を恨むことであろうか。
鑑賞
雑歌 835

詞書は前の歌に続き「兄の入道想空はかなくなりにけるを、訪はざりければ言ひ遣はしける」
 寂然の五首の三首目である。亡くなった兄が、もし再びこの世に残した跡を見るならば、弔いに訪れないあなたの心を恨むだろうか、と詠む。自分の恨みを、亡き兄の心として述べている。

 初句「別れにし」は、死別した、の意で、亡くなった兄をいう。
 二句「人をふたたび」は、その人が再び、の意である。
 三句「跡を見ば」は、この世に残した跡を見るならば、の意である。
 四句「恨みやせまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、恨むことであろうか、の意である。ここで句切れとなる。
 結句「訪はぬ心を」は、訪れないあなたの心を、と倒置によって四句を受けて結ぶ。

とふ:訪ねる、弔う
作者
寂然
出典
山家集
前の歌
待ちわびぬ遅れ先立つあはれをも 君ならでさは誰か訪ふべき
次の歌
いかがせん跡のあはれは訪はずとも 別れし人の行方尋ねよ