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なかなかに訪はぬは深き方もあらん
心浅くも恨みつるかな

歌の意味
かえって見舞わないことには、深い心があるのかもしれない。浅はかにも恨んでしまったことだ。
鑑賞
雑歌 837

詞書は前の歌に続き「兄の入道想空はかなくなりにけるを、訪はざりければ言ひ遣はしける」
 寂然の五首の最後の一首である。かえって見舞わないことには深い心があるのかもしれない、それを浅はかにも恨んでしまった、と詠む。これまでの四首の恨み言をやわらげ、西行の心を察して結んでいる。

 初句「なかなかに」は、かえって、の意である。
 二句「訪はぬは深き」は、見舞わないことには深い、の意である。
 三句「方もあらん」は、そういう方面もあるだろう、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「心浅くも」は、浅はかにも、の意で、二句の「深き」と対になっている。
 結句「恨みつるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、恨んでしまったことだ、と結ぶ。

なかなか:かえって、むしろ
作者
寂然
出典
山家集
前の歌
いかがせん跡のあはれは訪はずとも 別れし人の行方尋ねよ
次の歌
分け入りて蓬が露をこぼさじと 思ふも人を訪ふにあらずや