分け入りて蓬が露をこぼさじと
思ふも人を訪ふにあらずや
- 歌の意味
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分け入って蓬に置く露をこぼすまいと思って訪ねないでいるのも、人を思いやって見舞うことではないだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 838
詞書「返し」
寂然の五首に対する西行の返歌の一首目で、第八百三十三首に応じている。蓬の生い茂る家に分け入って、そこに置く露、すなわちあなたの涙をこぼさせまいと思って訪ねなかったのも、見舞うことではないだろうか、と詠む。訪れなかったことを、かえって相手を思いやってのことだと答えている。
初句「分け入りて」は、草を分けて入って、の意である。
二句「蓬が露を」は、第八百三十三首の「露しげき蓬が下」を受けており、露は寂然の涙を暗示している。
三句「こぼさじと」の「じ」は打消意志の助動詞で、こぼすまいと、の意である。
四句「思ふも人を」は、そう思うのも人を、の意である。
結句「訪ふにあらずや」の「や」は反語で、見舞うことではないだろうか、と結ぶ。
とふ:訪ねる、見舞う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なかなかに訪はぬは深き方もあらん 心浅くも恨みつるかな
- 次の歌
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よそに思ふ別れならねば誰をかは 身より外には訪ふべかりける