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亡き人を偲ぶ思ひの慰まば
跡をも千たび訪ひこそはせめ

歌の意味
亡き人を偲ぶ思いが慰められるのならば、その跡を千度でも訪ねて弔いもしようが。
鑑賞
雑歌 841

詞書は前の歌に続き「返し」
 西行の返歌の四首目で、第八百三十六首に応じている。亡き人を偲ぶ思いが慰められるのならば、その跡を千度でも訪ねて弔いもしようが、と詠む。訪れて弔っても悲しみは慰められないので、かえって訪れなかったのだ、という心を述べている。

 初句「亡き人を」は、亡くなった想空を、の意である。
 二句「偲ぶ思ひの」は、偲ぶ思いが、の意である。
 三句「慰まば」は、慰められるならば、の意で、仮定条件を表す。
 四句「跡をも千たび」は、その跡をも千度、の意で、第八百三十六首の「跡のあはれは訪はずとも」を受けている。
 結句「訪ひこそはせめ」は、係助詞「こそ」と已然形「め」による係り結びで、訪ねもしようが、と結ぶ。

ちたび:千度、何度も
作者
西行
出典
山家集
前の歌
隔てなき法の言葉にたより得て 蓮の露にあはれかくらん
次の歌
御法をば言葉なけれど説くと聞けば 深きあはれは訪はでこそ思へ