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風荒き磯にかかれる海人人は
繋がぬ舟の心地こそすれ

歌の意味
風の荒い磯にしがみつくようにして暮らす漁師は、つないでいない舟のような心地がすることだ。
鑑賞
雑歌 846

詞書は前の歌に続き「無常の歌あまたよみける中に」
 風の荒い磯にすがるようにして暮らす漁師は、つながれていない舟のように不安な心地がする、と詠む。いつ流されるかわからない舟に、頼りない人の身と命を重ねている。

 初句「風荒き」は、風の荒い、の意である。
 二句「磯にかかれる」の「かかる」は、すがる、頼る、の意で、磯にすがって暮らす、の意である。
 三句「海人人は」は、漁師は、の意である。
 四句「繋がぬ舟の」は、つないでいない舟の、の意で、いつ流されるかわからない頼りなさをいう。
 結句「心地こそすれ」は、係助詞「こそ」と已然形「すれ」による係り結びで、そういう心地がする、と結ぶ。

あまびと:漁師
かかる:すがる、頼る
作者
西行
出典
山家集
前の歌
驚かんと思ふ心のあらばやは 長き眠りの夢も覚むべき
次の歌
大波に引かれ出でたる心地して 助け舟なき沖に揺らるる