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大波に引かれ出でたる心地して
助け舟なき沖に揺らるる

歌の意味
大波に引かれて沖へ出てしまったような心地がして、助け舟もない沖で揺られていることだ。
鑑賞
雑歌 847

詞書は前の歌に続き「無常の歌あまたよみける中に」
 大波に引かれて沖へ出てしまったような心地がして、助け舟もない沖で揺られている、と詠む。前歌の「繋がぬ舟」を受けて、ついに流されて救いのない沖に漂う身の不安を述べている。生死の苦海に漂う身のたとえである。

 初句「大波に」は、大きな波に、の意である。
 二句「引かれ出でたる」は、引かれて出てしまった、の意である。
 三句「心地して」は、心地がして、の意である。
 四句「助け舟なき」は、助けてくれる舟もない、の意である。
 結句「沖に揺らるる」は、沖で揺られている、の意で、連体形で詠嘆を込めて結ぶ。

たすけぶね:遭難した舟を救う舟
作者
西行
出典
山家集
前の歌
風荒き磯にかかれる海人人は 繋がぬ舟の心地こそすれ
次の歌
亡き跡を誰と知らねど鳥辺山 おのおのすごき塚の夕暮