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波高き世を漕ぎ漕ぎて人はみな
船岡山を泊りにぞする

歌の意味
波の高い世の中を漕ぎに漕いで渡って、人はみな、最後には船岡山を泊まりとすることだ。
鑑賞
雑歌 849

詞書は前の歌に続き「無常の歌あまたよみける中に」
 波の高い世の中を舟を漕ぐようにして渡ってきても、人はみな最後には船岡山を泊まりとする、と詠む。船岡山は京の北の葬送の地で、その名の「船」から、世を渡る舟の行き着く港として詠んでいる。前の二首の舟の歌を受けている。

 初句「波高き」は、波の高い、の意で、苦難の多い世をたとえている。
 二句「世を漕ぎ漕ぎて」は、世の中を漕ぎに漕いで、の意で、世を海にたとえ、苦労して生きてゆくことをいう。
 三句「人はみな」は、誰もがみな、の意である。
 四句「船岡山を」の「船岡山」は葬送の地で、「船」は二句の「漕ぎ」の縁語である。
 結句「泊りにぞする」の「泊り」は舟の停泊地、港の意で、係助詞「ぞ」と連体形「する」が係り結びをなしている。

とまり:舟の停泊する所、港
ふなをかやま:京の北にあった葬送の地
作者
西行
出典
山家集
前の歌
亡き跡を誰と知らねど鳥辺山 おのおのすごき塚の夕暮
次の歌
死にて伏さん苔の筵を思ふより かねて知らるる岩陰の露