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死にて伏さん苔の筵を思ふより
かねて知らるる岩陰の露

歌の意味
死んで横たわるであろう苔の筵のことを思うと、そのときの寂しさが前もって知られる、岩陰に置く露であることよ。
鑑賞
雑歌 850

詞書は前の歌に続き「無常の歌あまたよみける中に」
 死んで横たわるであろう苔の筵を思うと、そのときのさまが今から思い知られる、岩陰の露によって、と詠む。山中の岩陰に置く露に、苔むした墓に眠る自らの死後の姿を重ねている。

 初句「死にて伏さん」は、死んで横たわるであろう、の意で、六音の字余りである。
 二句「苔の筵を」の「苔の筵」は、苔を筵に見立てた語で、死後に横たわる所をいう。
 三句「思ふより」は、思うと、の意である。
 四句「かねて知らるる」は、前もって知られる、の意である。
 結句「岩陰の露」は体言止めで、岩陰に置く露のはかなさで結ぶ。露は涙も暗示している。

こけのむしろ:苔を筵に見立てた語
かねて:前もって、あらかじめ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
波高き世を漕ぎ漕ぎて人はみな 船岡山を泊りにぞする
次の歌
露と消えば蓮台野にを送りおけ 願ふ心を名にあらはさん