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山崩すその力ねは難くとも
心たくみを添へこそはせめ

歌の意味
山を崩すほどの力は私にはとても難しいけれども、心の工夫を添えて、お手伝いはいたしましょう。
鑑賞
雑歌 859

詞書「かへし」
 前歌への西行の返歌である。山を崩すほどの力は難しいけれども、心の工夫を添えてお手伝いしよう、と詠む。前歌の「山も崩さめ」を受けて、力ではなく信心の心をもって堂の建立に結縁しようと応じている。

 初句「山崩す」は、前歌の結句「山も崩さめ」を受けている。
 二句「その力ねは」の「力ね」は、力の根本、力そのものの意である。
 三句「難くとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞で、難しくても、の意である。
 四句「心たくみを」の「心たくみ」は心の工夫の意で、堂を建てる工匠の「たくみ」を響かせている。
 結句「添へこそはせめ」は、係助詞「こそ」と已然形「め」による係り結びで、添えもしよう、と結ぶ。

たくみ:工夫、また工匠
作者
西行
出典
山家集
前の歌
寺造るこの我が谷に土埋めよ 君ばかりこそ山も崩さめ
次の歌
連なりし昔に露も変はらじと 思ひ知られし法の庭かな