雲雀立つ荒野に生ふる姫百合の
何につくともなき心かな
- 歌の意味
-
雲雀が飛び立つ荒野に生えている姫百合のように、何に寄りつくということもない心であることよ。
- 鑑賞
-
雑歌 866
詞書「心性定まらずといふ事を題にて、人々よみけるに」
題「心性定まらず」は、心の本性が定まらないことをいう。人々がこの題で歌を詠んだ折の作である。雲雀が飛び立つ荒野に、寄りかかるものもなく生えている姫百合のように、何に寄りつくでもない心である、と詠む。定まらない心を、荒野に揺れる姫百合にたとえている。
初句「雲雀立つ」は、雲雀が飛び立つ、の意で、広々とした荒野のさまを示す。
二句「荒野に生ふる」は、荒野に生えている、の意である。
三句「姫百合の」の「姫百合」は小さな百合で、「の」は比喩を表し、下に続く序詞となっている。
四句「何につくとも」は、何に寄りつくとも、の意で、題の「定まらず」に当たる。
結句「なき心かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、寄りつくところのない心を嘆いて結ぶ。
ひめゆり:小さな百合
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
塵ばかり疑ふ心なからなん 法をあふぎて頼むとならば
- 次の歌
-
惑ひつつ過ぎける方の悔しさに 泣く泣く身をぞ今日は恨むる