- 歌の意味
- むだにはならず、そのまま悟りへと帰ってゆくのであった。人のためにも捨てる命は。
- 鑑賞
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雑歌 874
詞書「菩提心論に乃至身命而不悋惜文を」
題は、密教の論書である菩提心論にある「乃至身命而不悋惜」、すなわち身命をも惜しまない、という文である。人のために捨てる命は、決してむだにはならず、そのまま悟りへと帰ってゆくのだ、と詠み、他者のために身を捨てる菩薩の行いをたたえている。
初句「あだならぬ」は、むだにならない、の意である。
二句「やがて悟りに」の「やがて」は、そのまま、すぐに、の意である。
三句「返りけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、帰ってゆくのであった、の意である。ここで句切れとなる。
四句「人のためにも」は、他人のためにも、の意である。
結句「捨つる命は」は、捨てる命は、の意で、題の「身命而不悋惜」に当たる。倒置によって三句までを受けて結ぶ。
やがて:そのまま、すぐに
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 山川のみなぎる水の音聞けば せむる命ぞ思ひ知らるる
- 次の歌
- 惑ひきて悟り得べくもなかりつる 心を知るは心なりけり