散りまがふ花のにほひを先立てて
光を法の筵にぞ敷く
- 歌の意味
-
入り乱れて散る花の美しさを先に立てて、仏は光を説法の座に敷きつめることだ。
- 鑑賞
-
雑歌 877
詞書「序品」
法華経の序品を題とした歌である。序品では、釈迦が法華経を説こうとするとき、天から曼陀羅華などの花が降り注ぎ、仏の眉間の白毫から光が放たれて世界を照らしたと説かれる。入り乱れて散る花の美しさを先立てて、仏は光を説法の座に敷きつめる、と詠み、その荘厳な場面を描いている。
ここから第八百九十三首まで、法華経の諸品を題とした歌が続く。
初句「散りまがふ」は、入り乱れて散る、の意で、天から降り注ぐ花をいう。
二句「花のにほひを」の「にほひ」は、色の美しさ、輝きの意である。
三句「先立てて」は、先に立てて、前触れとして、の意である。
四句「光を法の」の「光」は、仏の眉間の白毫から放たれる光をいう。
結句「筵にぞ敷く」の「法の筵」は説法の座の意で、係助詞「ぞ」と連体形「敷く」が係り結びをなしている。
のりのむしろ:説法の座、法会の場
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
闇晴れて心の空に澄む月は 西の山辺や近くなるらん
- 次の歌
-
花の香を連なる袖に吹きしめて 悟れと風の散らすなりけり