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休むべき宿を思へば中空の
旅も何にか苦しかるべき

歌の意味
休むことのできる宿があると思えば、道半ばの旅も、どうして苦しいことがあろうか。
鑑賞
雑歌 881

詞書「はかなくなりにける人の跡に、五十日のうちに一品経供養しけるに:化城喩品」
 亡くなった人のために、五十日のうちに法華経を一品ずつ分けて書写し供養した際に、化城喩品を担当して詠んだ歌である。化城喩品では、宝の所へ向かう険しい旅の途中で疲れ果てた人々のために、導師が神通力で幻の城を現して休ませ、また旅を続けさせたというたとえが説かれる。休むことのできる宿があると思えば、道半ばの旅も苦しくはない、と詠む。

 初句「休むべき」は、休むことのできる、の意である。
 二句「宿を思へば」の「宿」は、化城喩品の幻の城をいう。
 三句「中空の」は、道の途中の、中途半端な、の意である。
 四句「旅も何にか」の「か」は反語の係助詞で、結句の「べき」と係り結びをなしている。
 結句「苦しかるべき」は、苦しいことがあろうか、いや苦しくはない、と反語で結ぶ。

なかぞら:道の途中、中途半端なこと
いつぽんきやう:法華経二十八品を一品ずつ分担して書写し供養すること
作者
西行
出典
山家集
前の歌
法知らぬ人をぞ今日はうしと見る 三つの車に心かけねば
次の歌
おのづから清き心に磨かれて 玉ときかくる法を知りぬる